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【セミナーレポート】シップオンラインセミナー8月
住宅リフォーム会社の集客
語り尽くす90分
日本で最も住宅リフォーム業界の情報が集まるリフォーム産業新聞福田報道部長と日本で最も住宅リフォーム業界のWebマーケティング支援を行っているSHIP小松との対談です。メインテーマは業界でも常に注目度の高い「集客」について、便宜上以下の4つの話題に分けて進行しています。
- (シフト)チラシ集客からWeb集客へのシフトって進んでますか?
- (秘訣)儲かっている会社がやっていて儲かっていない会社がやっていない集客手法ってありますか?
- (動画、SNS)YouTubeとかSNSって始めたほうがいいんでしょうか?
- (3年後)2025年には集客はどのように変わっているのでしょうか?
講師紹介
住宅リフォーム事業では、見込み客集客が大きな経営課題です。コロナが開けようとしている今、「集客」を取り上げたいと思います。
リフォーム業界の集客は変わってきていると感じます。コロナでチラシ中心の考え方から、WEB集客の方に徐々にシフトしている様な感じますよね。
最初のテーマは「チラシ集客からWeb集客へのシフトって進んでますか?」ですが、ここでシフトしきれるか、中途半端なところでとどまるか、今後大きな差になっていくと思います。
やっぱり難しいですよね。HPを作ったから反響が出るかっていうと、そうではないので。次に具体的に何をするかっていうところですよね。コンテンツを増やすにしても何千件のコンテンツを自社で増やせるかと言ったら、なかなか厳しいところはあります。
コロナでネットの重要性は高まりました。ホームページはじめWeb集客に投資していない会社はありません。しかしチラシ集客で成長してきた住宅リフォーム会社さんは、「ネットからは見込みの薄いお客様しか集まらない」から、販促コストの比率もチラシとWebでは9対1くらいでとどまっている会社さんもいらっしゃいます。先にこの現象の謎解きをしたいと思います。
どんな業界でも市場のセグメンテーションをしますよね。住宅リフォームの場合も、ネット依存の比率が高い人と低い人、選択肢の多い人と少ない人。そういったカテゴリ分けができます。市場にチラシを大量に撒き続けてきた会社は、ネット依存度の比較的低い人に認知をとっていました。チラシで認知が浸透している場合、チラシでは反響が起こりますが、ネット依存度の比較的高い層には認知が形成されていない状態なので、反響が薄くなります。ここがわかれば対策はできます。
これは来月9月にセミナーに登壇いただく会社様の事例です。売上構成として新規と既存(OB)を分けていますが、新規客の集計表です。2年前は販促費の9割はチラシ集客で、発生した反響も売上もほぼそれに比例しています。ところが意を決してWebシフトに取り組みました。直前期のデータですが、販促費のWeb比率を40%まで上げました、結果、反響は約30%、売上でいえば約40%がWeb集客起因で発生しています。
でも、2年でここまでできるものなんですか?
大体は2年でここまで持っていくことは可能です。3カ月~半年の壁を乗り越えれば、ですが。こちらの会社様は、ネット依存度が高い人に対して、Instagram、YouTube、ピンタレストなどから流入してくるようにしています。顧客のボリュームゾーンが70歳を超える人がほとんどという会社以外は、たとえ2年でもこういう風に伸びていくと思います。
じゃあ3カ月やってみて、反響が出ないからと言って辞めちゃダメってことですね。
自分の顧客体験に当てはめて考えてみると、チラシからの情報収集に頼っていると、 新しいものを購入しようとする時って、不安になりますよね。 載せられている情報が限られるから。ここの会社はどんな会社で、 いつからやっていて…といった詳細の情報がないので。 そういう場合にはやっぱりネットに頼っちゃいますよね。Webシフトした会社が選ばれるようになるのは自然の流れだと思います。
さらに新しい流れがあります。Googleが購買行動を表現するのに「バタフライサーキット」とか「パルス消費」という言葉を使いだしています。いわば衝動買いのことです。従来は、「AIDMA」の順で購買までに一定期間でステップを踏んでいく右の形が主流でしたが、最近ではこの「AIDMA」が一瞬で起こる左の図のような購買行動がよく見られるようになったということです。 一瞬前までしらなかった商品をすぐに買う、というような。スーパーのレジの前に、ちょっとした商品を置いているじゃないですか、それがいい例なんですが、購買の際の意識も「さぐる」と「かためる」を行き来するような思考に移り変わってきています。さきほどの図でいうWebでの「非認知層」にアプローチをするときには、あらゆる手段を試して、パルス行動を促していくことが成果を早く出していく手段になります。
下請けから元請けに業態を変える会社様は、スタート時に認知がなかったりして、反響獲得に苦労されることがありますが、半年~1年くらいで立ち上がってきて、3~5年くらいで次のステージにあがろうと思った時に、この質問をよくいただきます。 そのような会社様含め、ほとんどがやってらっしゃらないのが「OB対策」なんです。OBリピートは新規獲得と比べると、販促コストが5分の1ほどで済むというのは販促の一般論でもありますし、OBリピートを生むことができると、どんどん業績が上がっていくという立証がされているんですが、そのあたり、福田部長は取材をしてみてどうですか?
僕の体感は、まだまだ会社さんによっては新規の方を狙うっていったところも多いです。新規のお客様は「単価が高い」ので、どうしても新規の方に目がいってしまいますよね。単純に単価だけでしか見ていないのかもしれないですが。 ハウスメーカーさんなんかは皆さんOBのお客様の獲得を狙っていますよね。それはかなり効率がいいなと感じています。 ハウスメーカーさんの3割くらいがOBという会社様が多いと聞いています。。
東京都大田区のキタセツ様は年商10億近いリフォーム会社さんですが、売上の7割がOBのお客様で、商圏エリアを半径2キロに絞っているのですが、今ですと1万世帯くらいのOBのお客様にニュースレターをお送りしているんです。そうすることによってお客様に節目節目で思い出してもらえる。 このルートから毎月250件以上の問い合わせを獲得し、売上の7割を生んでいます。
北川社長、僕も取材させていただいたことあるんですが、取り組みを一切隠さないでお話してくださるんですよね。競合を意識して隠される方も多いんですけど。 業界を盛り上げたいっていう考えがあるとは思うんですが、商圏エリアでの自信が桁違いにあるというのも理由なんじゃないかなと思いますよ(笑)
もう一つ取り上げたいのが新潟のリフォパーク新潟さんです。絆倶楽部という有料の会員制住宅メンテナンスサービスに取り組んでいらっしゃいます。 年会費を頂いて、急なリフォームでも会員価格で提供されているんです。これをすることで、リフォームが必要になった時はリフォパーク新潟さんに依頼するという流れができるわけです。
僕もやっぱりOB集客って大切だなと思っています。ハウスメーカーさんに頼む人は「大手だから安心」という意味で頼んでいる人も いるんですが、意外と見られているのが、「アフターフォロー」と「保障」なんです。そういったことが決め手で頼む人が多いのですが、 リフォーム会社さんでOB客にアプローチしている人がどのくらいいるかという調査をした時に、7割くらいの会社様が「何もやっていない」と 答えられたんですよね。びっくりしました。
シップといえば、リフォームのWEB制作の会社っていう風に思われていると思うんですが、そうじゃないこともやっていまして。
キタセツさんが送っているようなニュースレターって作成が大変なんですよね。それをシップが代わりに作成して発送まで行うサービスを
やっているんです。基本的にはOBのお客様にイベントチラシなどを同封してお送りしていただけるんです。もうひとつは、この間のフェアでも出させていただきましたが、OBフォローの為の顧客管理のクラウド、「reformcloud.com」も出しています。
データをエクセルにして入れると、マップ上にピンが立つようになります。ピンをタップすると顧客情報が格納できるようになっているんですが、これを今無料で提供しているんです。
無料ですか?タダより怖いものはないですけど(笑)
怖くないです(笑)。僕らとしては集合データを集め、分析して活用したいと考えています。そのためにユーザー様は無料でご利用いただけます。
SNSをやっていない方にこういった質問をよくされるんですが、結論としては「人による」「会社による」です。 SNSの多くは利用はタダですが、コンテンツ作るのには労力を使うので「投資」ですよね。 その投資とリターンを考えてリターンが上回るのであれば、活用する意義はあります。
こちらも事例と交えて紹介しますね。平均単価2000万円前後のマンションリノベを施工されていらっしゃるToivo社様です。施主様はご自身が納得行く施工会社を探すタイプです。そうした探す行動に対して、自社の高クオリティな施工の事例をWebサイトやSNSで伝えていくという戦略を取っています。InstagramのリールやYoutubeショート動画などで現場事例を紹介されていますね。こういったお客様の検討が重たい業種の場合は、 SNSの運用はマストだと言えます。
SNSからフォロー/フォロワー関係を作り、共感層とつながり流入を集めていくという戦略も投資をリターンが上回ります。事例としては「丸善工業」さん。Twitter・Instagramを事業・商品ごとに複数運営しています。売上の中心はオーダーメイドガレージですが、単価400万円~500万円が毎月途切れなく注文が入ってきます。車が趣味の人をフォローして、そこから繋がり、売上につなげていくというイメージですが、今ではそんなテクニックを越えて、価値観が重なるお客様たちとコミュニティができています
2軸マトリクスに一覧にしてみました。
探索している人に向けて良質なコンテンツで見込み化する右上の事例としてToivo社様、同じく探索している人向けですが、コミュニティ的に見込み化する丸善工業社様のが左上の事例でした。続いて別のルートで認知はある状態でSNSをコンテンツのプラットフォームとして活用されていらっしゃるのが右下の「ペンキ屋美装」さんです。激戦区である東京町田市で、競合の多い外壁塗装業の営業をされている会社ですが、「外壁塗装 町田」などで検索するとGoogle画面に登場するGoogleMAPとひもづいた口コミ一覧で1番か2番を維持しています。口コミをご覧になった流入が多く、そこからホームページに流入し、施工事例を補足するような形でお客様の声のYoutubeを使っています。最もハードルが低いSNSの有効活用法です。
私は1回とりあえずSNSを初めてみればいいんじゃないかと思うんですよ。
先日のリフォーム産業フェアでyoutubeのセミナーをやったんですけど、チャンネル登録者17万人くらいの方に来ていただいたんですが、事務局に入った瞬間にカメラを回していたんですね(笑)
そのくらい、撮影に対するハードルが低いんですよね。だから、「準備が…」と敬遠するよりも、まず撮ってみるというところから始めてみたらいいんだと思います。
マーケティングの基本としては、「リフォームなら〇〇社」の認知を取っていくことなので、そのためにはやっぱりトライ&エラーを繰り返していくことですね。
2025年は団塊世代が75歳を超えて、全体でも65歳以上が人口の30%を占めるとされているんですね。こちらは新聞の発行部数予想ですが、2021年で約3000万部。前年(2020年)から言うと約5%減なんですよね。この調子でいくと2025年の予想はマイナス20%くらい減になってしまうんですね。 折込チラシの供給もどんどん減っていってしまうということです。ここを知っておくことが大切です。
あとは、最新技術にとりあえずチャレンジしてみるということですね。福田さん、ミッドジャーニーってご存じですか?
聞いた事ないですね。
最近話題になっているのですが、AIが文字による指示をだしたら勝手に絵を描いてくれるというものです。こういった情報技術は今すぐに使える物ではないですが、いずれリフォーム業界にも関わってくるかもしれないという点において、経営者はこういったものにも興味を持っておく必要があると思うんです。10万円節約して10万円を残すことも大切ですが、新たにチャレンジをしてみて、その経験を残していった方がよほど未来のためにはなると思います。
私もすごく賛成です。色んなサービスが出てきている中で色々試したりしているんですが、リフォーム会社ってその地域の人との繋がりを大切にしているじゃないですか。 地域の人が入るアプリを開発している会社を取材したときに、そのアプリ内でリフォーム会社を紹介したりしてるんです。そういう新しい取り組みも面白いなと思っています。
人口減少と高齢化で経済環境が右肩下がり、情報技術はどんどん進化しています。2025年の70歳はWindows95が登場したときは40歳、iPhoneが登場したときには52歳、ネットには十分なじんでいます。今のホームページやSNSが新技術で姿を変えているかもしれませんが、間違いないのは、消費行動はネットにシフトするということです。
チラシ集客とWeb集客の販促費比率は9:1のリフォーム会社様であれば、翌期には販促費比率は7:3から6:4くらいにシフトして、少し歯を食いしばる時期はありますが、2025年には5:5から4:6くらいを目処にシフトすることだと思います。